まず、「テンス」という文法用語の意味を確認しておきます。

テンス:用言(動詞、形容詞、述語名詞)のしめす動作や状態が、話の時点を基準として、それより前であるか、あとであるか、同時であるかを表すことに関する文法的な(形態的な)カテゴリー
                                     (『国語学大辞典』国語学会編)

これだけでは、少しわかりにくいですね。説明を補足しておきましょう。

テンスというのは「時制」のことで、発話の時点と同時であれば「現在」、発話の時点より前だったら「過去」、発話の時点より後のものは「未来」と言います。日本語のテンスは、「過去形」(タ形:〜た。)と「非過去形」(基本形、ル形、現在形、現在未来形:現在と未来を表す)の二形態に分かれています。表にすると次のようになります。


  過去 現在 未来
動詞 あった(1)
あった(2)
食べた
行った
できた
登った
書いた
ある(1)



できる

ある(2)
食べる
行く

登る
書く
ナ形容詞 静かだった 静かだ  
イ形容詞 美しかった 美しい  
名詞+だ(述語名詞) 学生だった 学生だ  
  過去形
非過去形

上の表の「ある(1)」は、「机の上に本がある」の「ある」で、この「ある」の時制は現在です。「ある(2)」は「明日、会議がある」の「ある」で、この「ある」の時制は未来です。「イ形容詞」、「ナ形容詞」というのは日本語教育での文法用語で、国語文法ではそれぞれ、「形容詞」、「形容動詞」と呼ばれているもののことです。

上記の問題文に、「辞書形および(1)が現在を表す」動詞は、「状態動詞」と呼ばれる、と書いてありますが、これは上の表の「ある(1)」と「できる」のような動詞のことです。ここで問1の答えを確認しておきますと、もうおわかりだと思いますが、1の「マス形」(「〜ます」で終わる形)ということになります。「ある(1)」の「ある」は、辞書に載っている形、つまり辞書形ですが、「ある(1)」のマス形である「あります」も、「机の上に本があります」という文を考えてみればすぐわかるように、時制は現在です。2の「ル形」は、前述したように「基本形」と同じ意味で、これは「辞書形」と同じ形ですから、問題文の(1)にこれを入れると「辞書形および(1)」という文脈に合いません。4の「テイル形」は、例えば「勉強している」のような形のことです。「ある(1)」を「あっている」という形に変えることはできませんから、これも不正解です。

次に、「アスペクト」の定義を見てみましょう。「アスペクト(aspect)」は「相」と言い換えることもできます。
アスペクト:動詞の表す動作が一定時点においてどの過程の部分にあるかをあらわす動詞の形態的なカテゴリー
                                     (『国語学大辞典』国語学会編)

これも抽象的でわかりにくいですね。下の図を見ながら考えてみましょう。

 つまり、「アスペクト」というのは、例えば「つくる」という一つの動作、行為をあるプロセスとして考えるとき、その動作、行為が、1)開始前か(「つくるところだ」)、2)開始したところか(「つくりはじめる」)、3)最中なのか(継続、進行:「つくっている」)、4)終了したところか(「つくり終わった」、「つくってしまった」)、5)終了した後の状態か(「つくってある」)など、どの段階にあるのかを示すために言い分ける文法形式のことです。「つくる」の形は、この働き、動作の全段階を区切らずにひとまとめにして示しているので、「完成相」とも呼ばれます。